飲食店のオーナーさん・店長さんは自店の営業時間をどのように決めていますか?
常識的に考えての営業時間や自分が起きていて仕込みができる範囲での営業時間の決め方をしていませんか?
もしそうだとしたら今一度考え直す必要があるかもしれません。
今行っている営業時間で繁盛しているならそのままの営業時間でいいとは思いませが、繁盛していないのであれば再検討が必要でしょう!
他に開店していることで来店の取りこぼしを防ごうと長時間の営業をしていたり、その時間一人のお客様が来ればありがたいと営業していたりしませんか?
これでは従業員の士気が下がってしまいます。
このように間違った営業時間を行うことでかなりの「デメリット」が生まれてしまいます。
適切な営業時間を考え直すいい機会にしていただくために今回の記事では、
- 営業時間の基本的な考え方
- 業態別の営業時間の考え方
- 長時間営業の「メリット」「デメリット」
- 開店時間と閉店時間の見直し方
- ランチ営業の見直し方
- 赤字営業時間の改善
- 従業員の満足度を考えた営業時間の考え方
これらがわかるようになっています。
私は30年間飲食に携わってきて色々なオーナーさんの元、たくさんの飲食店の立ち上げ・立て直しをしてきました。
その経験から少しでも多くの飲食店オーナーさん・店長さんに適切な飲食店経営をしてもらいやすいようにアドバイスさせていただきます。
少しでも参考になれば幸いです。
この記事を読んでいただくと飲食店オーナーさん・店長さんは
- 自店の適切な営業時間がどのように決めればいいかがはっきりとわかります。
では私と一緒に詳しく見ていきましょう!
注目記事:飲食店開業の資金を抑えたい!物件選びで失敗したくない!そんな方のためのサービス!
自店の適切な営業時間がどのように決めればいいか
自店の適切な営業時間を決めるためには、さまざまな要因を考慮する必要があります。以下に、営業時間を決定する際に考慮すべき主要な要因を示します:
- ターゲット市場と顧客ニーズ:
- 店舗のターゲット市場や顧客のニーズを理解しましょう。顧客がどの時間帯に来店する傾向があるかを調査し、それに合った営業時間を設定します。
- 競合店の営業時間:
- 競合店や周辺の飲食店の営業時間を調査し、競合の営業時間と差別化を図るか、競合に対抗するための戦略を検討します。
- 地域の特性:
- 店舗の立地によっても営業時間は異なります。都市部と郊外、観光地と商業地域など、地域の特性に合った営業時間を考えます。
- 季節や曜日による変動:
- 季節や曜日によって需要が変動することがあります。週末や休日に長い営業時間を設けるか、季節に合わせて営業時間を調整することを考えます。
- スタッフのシフトと労働法規制:
- スタッフの労働時間や休憩時間を法律に従って調整しましょう。また、スタッフのシフトを考慮して営業時間を設定します。
- 予算と収益性:
- 長い営業時間を設定する場合、それに見合ったスタッフと資源を確保する必要があります。予算と収益性を考慮して、営業時間を設定します。
- イベントや特別プロモーション:
- 特別なイベントやプロモーションを計画する場合、その日のために営業時間を延長することがあります。
- 顧客のフィードバック:
- 顧客からのフィードバックや要望を収集し、営業時間の調整に役立てましょう。顧客の声に耳を傾けることで、満足度を向上させることができます。
最終的な営業時間を決定する際には、これらの要因を総合的に考慮し、バランスを取ることが大切です。また、営業時間を柔軟に調整できるよう、状況に応じて見直しや変更を行うことも重要です。顧客のニーズや市場の変化に対応し、成功するために営業時間を適切に管理することが求められます。
営業時間の基本的な考え方
それでは基本的な営業時間の考え方について解説していきます。
営業時間を決める判断は「利益」が出るかどうか
基本的には営業時間を決めるのに基準となるのが「利益が出るのか?」です。
利益が出ないのに営業しても意味はありません。
しかし世の中の飲食店の多くは利益が出ないのに「お店の宣伝になるから」などと言う明確な根拠がないのに営業時間を伸ばしてランチや深夜の営業をしていて、お客様からは「あのお店いつもお客が入っていないけど大丈夫?」と思われています。
私が立て直してきたてきたお店もほぼこのケースのスパイラルに陥っていました・・・。
ではどのように営業時間を考えていくかと言うと、「その時間に営業していてどの程度利益が出るのか?」を詳しく分析することが必要となってきます。
実は、この利益が出るのか?をあまり考えていないお店が多くあります。
ノーゲストなら赤字の感覚はあるのに、実はお客様が来店していても赤字の時間帯はあります。
このことをあまり深く考えていない飲食店が多くあります。
その無駄を無くせれば利益率の高い飲食店になるのです。
そして後でお話しする「従業員の満足度」にも直結していきます。
お客様が来店していても赤字とは、来店があっても無くても開店しているお店は光熱費・人件費がかかってくるからです。
一方、お店を開けている店側の言い分は家賃・減価償却費はお店を開けていなくてもかかってくるから・・・という言い分です。
常にお店を開けておきたいと言う心理には理解できますがこれがマイナスのスパイラルの入り口になっています。
この辺りをまとめて分かりやすくすると
A営業することで生じる1時間あたりの光熱費・人件費
B営業しなくてもかかってくる1時間あたりの減価償却費・地代家賃
それぞれを算出して、その時間の粗利からAとBを引いて、マイナスが出るようなら営業しない方がメリットがあり、逆にプラスなら営業している意味があると言うことになります。
周辺の客の流れを見て集客できるなら必ず開ける
その店舗の立地にあった時間帯で営業しているかも大切な判断材料です。
例えば、ビジネス街であったら朝モーニングを販売すると集客が見込めます。
自店が居酒屋であってもモーニング営業をした方が利益につながります。
逆に、住宅街だからと言う理由で夕方6時で閉店してしまっているカフェも仕事帰りの見込み客を逃してしまっています。
このように見込み客を逃してしまっている可能性をよく見極めて、客動線・客動向を察知して回転する方が確実に利益が上がります。
シフトと労働基準法を見直す
営業と利益の簡単から長時間営業をしてしまうことで見落としがちなのが、労働基準法です。
労働基準法は規模や業態に関係なくあらゆる事業所に適用される労働者を守るための法律で、その中で、1人の従業員が1週間で働いてよい時間は合計40時間以内(小規模の事業の場合は特例で44時間以内)、月に休日を4日与える、ということが決まってます。
これは個人経営の飲食店でも、相手がアルバイトさんでも同じです。
最悪、守らなかった場合は経営者が罰せられます。
仮に、24時間営業が利益出るからといって開店していても、その時間帯に労働基準法に基づいたシフトを組まなくてはいけなく、シフトが組めるだけの従業員を確保しなければならないという判断も必要になってきます。
それが無理ならば営業時間の拡大と従業員の確保をセットで見直す必要があると言うことです。
決めた時間は厳守して開店する
一部の店主は仕込みが遅れたからといって開店時間を平気で遅らせる方がおられますが、そんなお店は必ず衰退してしまいます。
オープン時間が守られていなければその時間は避けて来店するようになってしまいます。
よっぽどのそのお店のファンではない限り、来店は遠のくことでしょう。
一度開店時間を決めた以上、開店時間を死守するぐらいの気持ちで営業しましょう。
業態別の営業時間の考え方
では実際に業態別の営業時間を考えていきましょう。
居酒屋
まずは、居酒屋で食事を楽しみたいターゲットの来店する時間帯を把握する必要があります。
主な客層は仕事帰りのビジネスパーソンでしょう。
仕事を終えて居酒屋で一杯飲んで、それから帰ると言う方も多いのではないでしょうか。
そのために5時から11時ごろまで営業している居酒屋が多いようです。
来店客のピークは7時から9時くらいが目安です。
また、金曜日・土曜日の来店もかなり多いようです。
ターゲット層が来店する時間帯は特に待ち時間を与えないようにし、できるだけ早くおつまみやドリンクの提供ができるようにしておかなければなりません。
もし0時を過ぎても営業を行う場合は、深夜酒類提供飲食店となり、公安委員会に「深夜酒類提供飲食店開始届」を提出しなければなりません。
もし届け出を出さなければ営業できない場合があるので注意しましょう。
また、きちんとラストオーダーの時間を表示したり、お客さまに伝えることも大事です。
レストラン
オフィス街にあるレストランの場合、昼休みの12時から13時がピーク時間になります。しかしその時間帯を過ぎるとかなり客数が減ります。
そのため営業時間を午前11時から午後2時半まで、午後は退社後のサラリーマンたちの来店を狙って午後5時半から午後9時半まで営業するなど、時間をきちんと区切っているお店があります。
一方、郊外にあるレストランの場合、ゆったりとランチ、ディナーを楽しみたい主婦層、ファミリー層、カップル層が多いため、ランチタイムは午前11時半から午後14時過ぎくらいまでに設定すると、客層の幅を広げることができます。
また、ディナータイムは午後7時から9時までが一番込み合う時間帯です。
週末や祝日はブランチを楽しみたい、遅めのランチを取りたいというお客さまが多いので営業時間を長めに取るようにしているお店もあります。
そのため営業時間を午前10時半から午後3時半、午後6時から午後9時半にすることもできるでしょう。
ラーメン屋
ラーメン屋ではスープの仕込みがあり、他の飲食店よりも仕込みに多くの時間がかかります。そのため営業時間を午前11時半から午後2時、午後6時から午後10時までとしているお店が多いかもしれません。
しかし、お店によっては他のお店と差をつけるために翌日深夜1時までの営業を行っているお店もあります。そうした店舗の場合は、他のお店で夜の仕事をしているスタッフが仕事終わりにラーメンを食べに行くことができたり、残業が長引いたサラリーマンが時間を気にせずラーメンを楽しめるなど人気があります。
こうしたいろいろなニーズに応える取り組みによってお店の利益が上がるという良い結果に繋がっています。
カフェ
カフェでゆったり時間を過ごしたい、読書を楽しみたいなどカフェでの時間を大切にしておられる方は多いのではないでしょうか?
多くのカフェでは午前11時から午後7時くらいまでが営業になっています。
飲み物以外にケーキやパン、なかにはパスタなども提供してるお店もあります。
また最近ではモーニングを提供してるカフェも増えていますので、朝はゆっくり読書や勉強をしながらカフェで過ごすという人もいるようです。
そうすることにより学生や高齢者、サラリーマンなどの需要も増えて、収益につながるという良い結果があります。
このため午前7時に開店し午後7時で閉店、と長めの営業時間を設定しているお店もあります。
しかし個人営業の場合、営業時間が長くなるとその分体力の負担や人件費がかかることも考慮しなければなりません。
長時間営業の「メリット」「デメリット」
では長時間営業のメリット・デメリットにはどんなものがあるのでしょうか?
【メリット】
●顧客を獲得できる時間が長い
営業している時間が長いため、いろいろなニーズの顧客を取り込める、というメリットがあります。
●深夜帯に働きたい兼業の人に働ける場所を提供できる
事情により、昼間は普通に仕事をして夜の時間に数時間アルバイトをしたいというニーズもあります。
もちろん、体力的には大変だとは思いますが、夜間、深夜帯ならアルバイトができるという意味ではメリットです。もちろん、人材が集まらなければこの点はデメリットになってしまう点ではあります。
【デメリット】
●人件費がかかる
長時間営業しても思った以上に来客数が増えず、一方で人件費は変わらず支払う必要があるためかえって赤字になってしまうことがあります。
●長時間労働による質の低下
長時間営業に伴い、従業員の勤務時間も長くなるため、仕事の質が低下したり、お客様に対するサービスに影響が出ることがあります。
また、人員不足などの問題があるならその影響はさらに大きなものとなるでしょう。
●食材を無駄にする傾向がある
営業時間が長いということはそれだけ多くの種類のメニューを提供しなければなりません。
そうしなければお客様が飽きてしまい、客足が減る可能性があるからです。
しかし多くの種類のメニューを提供する一方、それらの食材が無駄になってしまう可能性が増えるのも事実です。そのため全体的に見て長時間営業がプラスにならないことがあります。
●光熱費がかかる
もし長時間営業をして収益が人件費や光熱費をかなり上回っていれば問題ありませんが、あまり収益が見込めないなら光熱費が負担になることがあります。
長時間営業を考えておられるならあまり安易に判断せず、以上のメリット・デメリットをよく検討することをおすすめします。
開店時間と閉店時間の見直し方
では以上を前提に、店舗の開店時間、閉店時間、あるいは中間のアイドルタイムをどのように決めるかのポイントについて説明します。
客数の動きと街の客動線を見る
まずは、店舗の立地にどのような特性があるのかということをよく観察しましょう。
まず現在の営業時間中については、曜日ごとに1時間単位の来店客数を最低でも2か月間記録し、曜日ごと×1時間単位で集計します。
閉店時間中やアイドルタイム中については、最低1週間は店の外に出て、その時間帯にどういう人がどの程度前を通るのか、ということを観察します。
前者によって、曜日ごと×1時間単位の来店数が、今までは感覚だけだったものが数字として明確にわかります。
後者によっては、その人の観察眼次第ですが、意外に人通りがあるとか、隠れたニーズが眠ってそうだ、とかの判断の参考材料が見つかります。
曜日ごとの1時間単位の利益を算出する
最終的には利益が上がっているかどうかが基準になりますので、今度は毎日の営業時間内の1時間単位での利益を出します。
1時間単位での売上から原価を引き、その間にかかった人件費、光熱費、そして1時間単位に割り戻した家賃と減価償却費を引いて算出します。
これも最低2か月間は集計して、それを曜日ごと×時間単位にまとめます。
すると、明確に、利益が出ている曜日と時間帯、赤字になっている曜日と時間帯がわかります。
以上の方法で実態がつかめたら、
- 今の営業時間のうち赤字の時間帯の閉店
- 可能性がありそうな時間帯にテスト的に営業してみる
という方向で営業時間の見直しを行いましょう。
曜日ごとの変更も可
これらの分析をすると、来店があって利益が上がる時間帯が曜日によって異なることも分かってきます。
その場合は積極的に、曜日ごと営業時間の変更を行いましょう。
たとえば
- 木~金曜日は 24:30閉店
- 土曜日は 24:00閉店
- 日祝は 23:00閉店
といった具合です。
同様に開店時間についても、あるいはアイドルタイムについても、このように曜日ごとに変えても、それをお客様にしっかり告知できれば問題ありません。
ランチ営業の見直し方
一方で、飲食店はランチを営業して少しでも利益をあげないといけない、というのが常識のようになっています。
しかし分析をしてみたら、ランチタイムに意外なほど利益が出ていない可能性もあります。
ランチについても同じように分析をして、その存続について1度考えてみましょう。具体的なステップは以下の通りです。
ランチタイムも曜日ごと、時間帯別収益を分析する
これも曜日ごとの時間単位(ランチの場合は30分単位)で損益を計算します。
すると、周囲の店がやっているから自分の店舗も何となく営業していたが、実際はほとんど利益がなかったという場合も出てきます。
さらに、ランチのための食材の仕入れとロスまで計算に入れた場合、完全に赤字、というケースもあります。この場合は躊躇せずにランチ営業を止めることを考えましょう。
もちろんその前に、近隣の他の飲食店ではランチで利益が出ているようであれば、立地的には問題ないわけですから、一気にランチ営業終了の判断をする前に、メニューと価格の見直しを行うことも必要です。
客動向、客動線によってランチタイムを変える
上のような「守り」の戦略だけではなく「攻め」の戦略も必要です。
現在、常識的な判断で設けているランチタイムが果たして近隣のサラリーマン、OL、学生などターゲット層の動向や動線にあっているのか、ということを判断しましょう。
それは、上で書いたように外に立って人の流れを見る、ということが基本です。
一般的な客動向で言うと、通常のビジネス街では11:30~14:00、美容院や小売りなどの接客業の多いエリアの場合は11:00~15:00の営業時間にしたほうが集客できる、ということが言えます。
いずれにしても店舗の立地の特性次第ですので、まずそれをよく観察しましょう。
赤字営業時間の改善
以上ご説明したのは、客動向とコストのバランスの中で、いかに営業時間をフレキシブルに、実態に合わせて変えて利益を出していくかという話でした。
しかしこれと同時に考える必要があるのは、「売上を上げる」戦略です。
現在赤字、あるいは損益が±0に近いレベルで推移している時間帯は、本当に営業を止めてしまったほうがいいのか、最終判断の前にまず考えたほうがよいでしょう。
客層と料理がマッチしていないのかもしれませんし、価格や1皿あたりのポーションがニーズを満たしていないかもしれません。
さらには、その1品で集客力がぐんと上がるような「キラーコンテンツ」の料理を考えられないか、という検討も必要です。ハッピーアワーのように、閑散気味の時間帯の集客販促の実施もあり得るでしょう。
このように「守り」だけではない、売上を取りに行く「攻め」の戦略も同時に考えることで、初めてバランスのよい店舗経営ができるのです。
ぜひその観点でも考えてみましょう。
従業員の満足度を考えた営業時間の考え方
さて、営業時間も見直した、攻めの戦略も実施した、という中で仮にそれが成功した場合の話です。
店長、あるいは経営者としては満足でしょうが、気にしなければならないのは従業員満足度や疲労度です。
労働基準法に基づいて従業員と協定を結び、残業や休日出勤も法的には可能になったとしても、過労度や従業員満足度に影響がないか、しっかり考えて実施しなければなりません。
別のケースもあります。
営業時間が短くなったことでシフトが減り給料が減るという場合です。
それもまた従業員にとっては不満のもとになり、場合によっては他の飲食店との兼業、あるいはほかの店へ移ってしまうということも考えられます。
営業時間の変更が従業員満足度にどう影響するのかよく考えることが重要です。
また、実施後も目を配る必要があります。お客様が増えても、元気で笑顔なスタッフが迎えられなければ本当の繁盛店にはなりません。
従業員満足度が高い店舗は顧客満足度も高い傾向にありますので、店長、経営者の方はその点にもしっかり目を配ってください。
まとめ
いかがですか?
自店の営業時間は適正でしたでしょうか?
営業時間の実態を分析してみれば、意外に利益の出るポイント、あるいは損失を減らせるポイントが見つかる可能性があります。
上で挙げたような方法を活用し、営業時間の分析と評価、そして必要であれば見直しをしてみていってください。
こちらもおすすめの記事です⬇️