最近人気のスナックは客単価と利益率が高く、小資本で開業できることで起業家の間で人気が高まっています。
スナックを開業するには、スナックの定義を理解したうえで基本コンセプトを決めることが大切です。
起業家の方・これからスナックを開業しようとしている方はこの記事を読んでスナックの定義や開業に必要な資格・届出を知りましょう。
私は飲食業に30年以上携わってきました。
色々なオーナーさんの下でたくさんの飲食店を立ち上げたり立て直したりしてきました。
その経験やノウハウを記事にして少しでも多くの方の参考になればと考えています。
ここでは、スナックの定義や基本コンセプトの決め方、スナックを開業するまでの流れなどについて説明します。
注目記事:飲食店の開業資金はゼロから始められるのか?物件選び・資金調達は?
スナックを開業するのに必要な資格・届出などポイント!
スナックを開業する際に必要な資格や届出については、国や地域によって異なる場合があります。以下は一般的なポイントですが、具体的な要件は地域や国によって異なるため、地元の自治体や規制当局と相談することが大切です。
- 営業許可: ほとんどの場合、スナックを開業するには営業許可が必要です。地元の市町村や都道府県の規制当局に申請し、許可を受ける必要があります。営業許可の要件は地域によって異なりますので、詳細な情報は地元の自治体に問い合わせてください。
- 飲食業許可: スナックでアルコールや食事を提供する場合、飲食業許可が必要なことがあります。アルコールの提供には酒類販売免許も必要かもしれません。
- 衛生管理: 飲食業では衛生管理が非常に重要です。食品の取り扱いに関する許可や衛生基準を満たすための施設や設備が必要です。
- 音楽ライセンス: BGMを提供する場合、音楽ライセンスが必要なことがあります。著作権法に基づくライセンス料の支払いが必要です。
- 建築許可: スナックの建物を建てる場合、建築許可が必要です。既存の建物を改装する場合も、建築許可や改築許可が必要な場合があります。
- 火災保険: 飲食店やバーを経営する場合、火災保険や公共の安全に関連する保険が必要なことがあります。
- 税金と会計: ビジネスを運営する際には、税金や会計に関する法律を理解し、適切に遵守する必要があります。税務申告や記帳が適切に行われるようにしましょう。
- 許可証の展示: 開業許可証や飲食業許可などの許可証を店内に展示することが求められることがあります。
- 訓練とライセンス: スナックでアルコールを提供する場合、従業員にはアルコールの販売に関する訓練やライセンスが必要な場合があります。
- 法的なコンサルティング: 法律や規制に関するアドバイスを提供する法律顧問と協力することが重要です。特にアルコールの提供に関する法的な問題は複雑です。
スナックを開業する前に、地元の規制や要件を詳細に調査し、必要な許可とライセンスを取得することが大切です。また、地元の業界団体や経験豊富なビジネスアドバイザーと協力し、スナックの開業プロセスを円滑に進めましょう。
スナックとは
スナックは正確にはスナックバー(snack bar)と言い、軽食(snack)をつまみながらお酒を飲める酒場(bar)のことです。
スナックはカウンター越しで接客をすることが特徴で、ラウンジやクラブ、キャバクラのように女性が隣に座って接待することはありません。
風営法で規定されている接待行為を一切行わないスナックは風俗営業許可は不要で、飲食店営業許可だけで開業できます。
また、深夜酒類提供飲食店営業の届出をすると、午前0時以降の深夜営業をすることも可能です。
なお、接待行為を行うスナックは風俗営業許可を取ることが必要で、深夜0時以降の営業は原則禁止されます。
ガールズバーもスナックの一種ですが、ガールズバーはキャストの年齢層が若く、料金はスナックよりも高めに設定されています。
スナックはママやキャストの年齢層が高く、落ち着いた雰囲気の店が多いです。
スナックはリーズナブルな料金の店が多いので、初めての店でも気軽に入店できます。
スナックを開業するメリットとデメリット
メリット
スナックは他の飲食店と比べると客単価と利益率が高く、高い収益を見込めることがメリットです。
常連客を増やすと安定した収益を得ることができ、現金商売であるため資金繰りも楽になります。
お客様に提供するお酒は他の食材のように傷んだりしないため、ボトルキープをしてもらうことで固定客を増やせます。
スナックは小資本で開業できる点もメリットであり、特別な技能がなくても接客術さえあれば簡単に独立開業ができます。
カウンター越しでの接客になるためお客様と親しくなりやすく、常連客を増やしやすいこともスナックのメリットです。
デメリット
スナックのデメリットは、カウンター越しでの接客になるため、接客に神経をすり減らしてストレスがたまることです。
お客様にはいろいろなタイプの人がいますので、苦手なタイプの人でも接客をしなければいけません。
アルコールが入ると性格が豹変するようなお客様も存在するため、トラブルに巻き込まれることがあります。
スナックを開業するまでの流れ
- コンセプトを決める
スナックは接待行為を行うか否かで許認可申請の手続きが違ってくるため、接待行為を行うかどうかを決めたうえで、客層や料金などの店の基本的なコンセプトを決定します。 - 開業資金の調達
コンセプトが決まったら開業資金を調達することが必要で、日本政策金融公庫の創業融資や信用保証協会の制度融資を利用する際には、融資の申請手続きを行います。 - 物件を借りる
資金調達ができたら基本コンセプトに合致する貸店舗を探し、良い物件が見つかったら賃貸借契約を締結します。居抜き物件の場合は最低限の内装工事で営業することができますが、スケルトン物件の場合は大掛かりな内装工事を行うことが必要です。 - 各種許可や届出の手続き
内装工事の図面ができたら、飲食店営業許可や深夜酒類提供飲食店営業の届出などの許認可申請手続きを行います。許認可申請手続きでは膨大な数の書類を作成することが必要ですが、飲食店の開業手続きに強い行政書士に依頼すると、煩雑な許認可申請手続きを代行してもらえます。 - 仕入先の選定
内装工事や許認可申請手続きを行っている間にお酒や食材などの仕入先を決定しましょう。 - スタッフの採用
キャストを雇う場合には求人広告を出してスタッフを集めます。 - 宣伝活動
上記の準備が整ったら、チラシを配布するなどして宣伝活動を行いましょう。開業の告知をする際には、店舗のホームページやSNSのアカウントを作っておくと、ネットで集客ができるようになります。
全ての準備が完了するといよいよ開店です。開店当日のお客様は常連客になってくれることが多いので、開店記念のノベルティグッズなどをプレゼントすることをおすすめします。
基本コンセプトの決定から開業するまでには、半年から1年程度はかかるでしょう。
コンセプトの決め方をわかりやすくした記事はこちら⬇️
こちらの記事では飲食店を開業するまでにやっておくべき事を記事にしています。
1年前から3ヶ月前までにやっておくべき事⬇️
3ヶ月前からオープンまでにやっておくべき事⬇️
開業に必要な届出の記事はこちら⬇️
スナックを開業するのに必要な資金
スナックを開業するには、最低でも500万円程度の開業資金が必要です。
最も費用がかかるのが店舗費用で、約200万円の費用がかかります。
店舗費用に次いで費用がかかるのが内外装工事費で、工事代の相場は約100万円です。
居抜き物件だと内装をそのまま使えるため、内装工事費を大幅に削減できます。スナックの開業費用を大幅に削減したい方は、居抜き物件を選ぶことをおすすめします。
開業資金が不足する場合は、公的融資制度を利用すると低金利で資金調達ができます。
日本政策金融公庫には新創業融資制度があり、無担保・無保証人で最大3,000万円までの事業資金を年率1.70%から2.60%の低金利で借りることが可能です。
また、信用保証協会の制度融資も1%台の低金利でスナックの開業資金の融資が受けられます。
創業融資や制度融資は手続きが煩雑ですが、行政書士や税理士に依頼すると融資申請手続きを代行してもらえます。
開業に必要な資金計画の記事はこちら⬇️
スナックを開業するのに必要な資格
スナックを開業するには、食品衛生責任者の資格が必要です。
調理師免許や栄養士の資格を持っている方は食品衛生責任者の資格を自動的に取得できます。
なお、スナックを開業するのに調理師免許は特に必要ありません。
食品衛生責任者は都道府県が実施している食品衛生責任者養成講習を受講するだけで資格を取得できます。
収容人数が30人以上のスナックを開業する際には、防火管理者の資格も必要です。
防火管理者の資格は、消防署が実施している防火・防災管理講習を受講すると資格が取得できます。
開業に必要な食品衛生責任者資格の記事はこちらからどうぞ⬇️
まとめ
スナックは接待行為を行うか否かで、基本コンセプトや許認可申請手続きが異なります。
接待行為を行わないスナックであれば、風俗営業許可は不要です。
開業資金は最低でも500万円程度は必要ですが、居抜き物件だと開業資金を大幅に削減できます。
開業資金が不足する場合は公的融資制度を利用すると、低金利で資金調達をすることが可能です。
許認可申請手続きや融資申請手続きは行政書士や税理士に依頼すると、煩雑な手続きを代行してもらえます。