飲食店のオーナーさん・店長さんは店舗の前に置いている看板に法律があるのをご存知でしょうか?
とりあえず店舗の前で目立つように設置しているのではありませんか?
飲食店に欠かせない物として、メニューや価格等を表示している立て看板があります。
お店のイチ押し、新商品、季節限定メニュー等、街中の至る所で立て看板を見かけます。
ところがこの立て看板、どこにでも設置していいか、というとそうではありません。
場所によっては通行の妨げになりますし、場合によってはケガや事故に発展したり、また撤去を求められることもあります。
ではこういった飲食店の必須看板を置くにはどのような事に気を付けるのか?
道路は?歩道は?許可等は必要なのか?
そして効果的な看板の設置は?という疑問について解説します。
私は、飲食業界に30年以上携わってきました。
色々なオーナーさんの下でたくさんの飲食店を立ち上げ・立て直しをしてきました。
だからこそわかる細かのところを記事にしています。
少しでも参考にしてください。
それでは、まずは看板に関する法律を詳しく見ていきましょう!
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飲食店の看板に関する[法律]と効果的な[種類]を解説
飲食店の看板には法律的な規制や効果的な種類があります。以下にそれぞれについて説明します。
法律的な規制:
- 建築基準法: 日本の場合、建築基準法に基づいて看板の設置に関する規制があります。看板の形状、サイズ、高さ、色、文字の大きさなどが法律で定められており、これらの規定を守る必要があります。
- 地方自治体の規制: 地方自治体によっても看板に関する規制が存在します。地域ごとに異なる場合がありますので、看板を設置する前に地方自治体の条例や規則を確認することが必要です。
- 商標法: 商標法に基づき、他の事業者の商標や著作権を侵害しないように看板を設置する必要があります。他社の商標を模倣するなどの行為は法的に問題となることがあります。
- 広告表示法: 飲食店の看板には誤解を招く虚偽の表示をすることは禁止されています。商品やサービスの内容を正確に表現することが求められます。
効果的な看板の種類:
- 文字看板: シンプルでわかりやすい文字看板は効果的です。店名やメニューの名前、営業時間などを表示しましょう。
- イメージ看板: 飲食店の特色やコンセプトを伝えるイメージ看板は重要です。食事の写真やロゴを使用しましょう。
- LED看板: LED看板は夜間や暗い場所でも目立ちます。営業時間やお得な情報を表示するのに適しています。
- のぼり旗: のぼり旗は通行人の目を引きます。セールや特別イベントの宣伝に使用することができます。
- サインボード: 店舗の外にサインボードを設置することで、通行人に店舗の存在を知らせることができます。
- ウィンドウデカール: 店舗の窓にデカールを貼ることで、メニューの一部やキャンペーン情報を表示することができます。
- アウトドアカフェテーブル: 飲食店の外にカフェテーブルやイスを設置し、通行人に外で食事を楽しむ機会を提供しましょう。
- 季節に合ったデコレーション: 季節やイベントに合わせたデコレーションや看板を設置することで、注目度を高めることができます。
看板は飲食店のブランドを構築し、集客に大きな影響を与える重要な要素です。法律に適合し、効果的なデザインとコンテンツを考慮して看板を設置することが成功への一歩となります。
知らないでは済まされない看板の設置に関する法律
看板は勝手に設置して良いものではなく、日本には屋外広告物法という法律があり各自治体でそれに基づいて屋外広告物条例というものを制定しています。
屋外広告物法は1949年に制定され、主に美観・風致の維持と公衆への危害の防止を目的として作られた法律です。
規制を行うのは都道府県や政令指定都市・中核市で、自治体によって基準は異なります。
その他、建築基準法、道路法、道路交通法も屋外に看板などを設置する際には避けては通れない法律です。
場合によっては、行政に申請や許可をもらった上で看板を設置しても良いというケースがあります。
初めて看板を設置する人にとって、法律や申請の必要性を前もって知っておくと、
実際に設置する時にスムーズに物事を運ぶことができます。
では看板に関する基本的な法律とそれに関する申請や許可についてご紹介します。
屋外広告物法(屋外広告物条例)
屋外広告物法は、良好な景観の形成・風致の維持を目的とした法律です。
看板やネオンサインなどの屋外広告物は、簡単にそれらの情報を得られる有益なのもでありまた街を活気づけるものでもありますが、無秩序に放置されれば街中に大量に氾濫しその街の美観や自然の風致を損な可能性があるので、周囲の景観と調和した屋外広告物の掲出が要請されます。
また、設置や管理が適正に行われでいないと、強風や地震などによって通行人等に危害を及ぼすこともあることから、屋外広告物法に基づき地域や地区ごとに屋外広告物条例というものを制定しています。
各地区ごとに規制が異なり独自で行っており独自の規制が定まっていることがあります。
看板を設置する際にまず守らなければならないのが、屋外広告物条例です。
各地域の基準を超える場合には屋外広告物許可申請を取ることが必要となります。
目立つ看板を建物に取り付けたいとした場合、お店の雰囲気とマッチしているか考えることも重要ですが、
各地域の屋外広告物条例を知っておくと余分な申請をしなくて済みます。
建築基準法
建築基準法は、建築法規の中では最も基本的な法律で、国民の生命・健康・財産の保護のため建築物の敷地・設備・構造・用途に関する最低の基準を定めたものになります。
主に建物を建てるときに守らなければならない最低限のルールなので、一見看板製作とは無関係にもとれますが、高さ4メートルを超える看板(袖看板、壁面看板、建植看板、屋上看板、アーチ看板など)を製作・設置する場合に、建築士によるチェックと設置後の報告が必要となります。
また設置の際には、構造上の安全性確保の面から、「工作物確認申請」と「構造計算書の作成」が義務づけられています。【建築基準法第88条】
(防火地域などにある建物の屋上に、高さ3mを超える看板を設置する場合も建築基準法の適用となり、主要部材を不燃材料で造るか不燃材料で覆わなければなりません。【建築基準法第66条】。)
道路法
道路法は道路の整備や管理のため、費用負担など道路を維持していくための法律です。
看板に関するものとしては、32条の「道路の占有の許可」があります。
条文には「道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない」と記載されており、「次の各号のいずれかに掲げる工作物」に壁面の看板や袖看板、立て看板やボールサイン、スポットライトやのぼりなどが該当します。
継続的に道路に看板を設置し続ける場合に適用されるもので、道路管理者の許可を受けることが義務付けられています。
道路に看板を設置するということは、歩行者などの通行の妨げとなることも考えられます。
そのため、道路に対して看板がはみ出ている状態や、敷地外に看板を設置する際には道路占用許可申請が必要となります。(敷地内の場合は問題ありません)
そして道路占用許可には、占用料を申請した自治体などの道路管理者に対して支払うことになります。
占用料は、道路の種類(国道や県道や市道など)や、物件に応じて金額が異なります。
道路に面した場所に看板を設置する場合は、国道は国土交通大臣、県道は都道府県知事に使用許可を得る必要があります。
道路交通法
道路交通法は、道路における危険を防止し、歩行者や自動車などが安全に道路を通行するための法律です。
道路に看板を設置する際に安全性などの条件を満たすことと、看板設置前に許可申請が必要であることが定められています。
道路沿いに看板を設置する際には、本来の目的外での使用となるため、所轄警察署長から道路使用許可を取らなければなりません。
申請後には審査が行われ、「交通の妨げになるおそれがない」「交通の妨げになるおそれはあるが、やむを得ない」と判断された場合に使用許可が得られます。
設置する看板が道にはみ出していれば、道路交通法の適用対象となります。
そのため、お店の前に置くタイプの看板は、この法律の適用対象になるかどうか、設置場所を良く確認しておくと良いでしょう。
各自治体の条例
お住いの自治体によっては、景観法に基づき、特殊な決まりが定められていることがあります。
特に都市景観条例などでは、周囲の景観を守るために看板の色や意匠が制限されている地域もあります。
同条例は伝統的な街並みを保存したり、観光資源を守る目的で定められていますので、景観に力を入れている自治体の場合は、看板の設置に対して高さ制限や設置場所が決められていることがありますので、上記4つの法令以外にもお店や会社などの自治体の条例を確認する必要があるでしょう。
基本的な看板設置に関する法律は以上となりますが、その他にも、都市計画法、自然公園法、文化財保護法など、看板設置の法令は多岐に渡ります。
詳細は各自治体にご相談ください。
飲食店における看板の役割とは
飲食店における看板には、大きくふたつの役割があります。
まずひとつは、お店の存在をお客さまに認知してもらい、来店につなげる役割です。
難しくて読めない看板やよく見ないと飲食店と分からない看板は、この役割を果たせないです。
ふたつめは、お店のコンセプトや看板メニューをアピールする、販促ツールとしての役割です。
看板には店名だけでなく、お店の得意とする料理ジャンルやサービスの特徴、日替わり・週替わりメニューやランチの内容など、さまざまな情報を盛り込むことができます。
そのため、顧客のニーズとすり合わせがしやすく、集客効果が期待できます。
繁盛する飲食店の看板の主な共通点5つ
あまり知られていませんが、繁盛する飲食店の看板にはいくつか共通点があります。
繁盛する飲食店の看板の主な共通点として、5つがあげられます。
- 視認性が高い
- パッと見ただけで店の特徴が伝わる
- ゴチャゴチャしていない
- 気づいてもらえる場所に設置されている
- 他店舗の看板に埋もれていない
それぞれの共通点について詳しく解説していきます。
視認性が高い
実際に街に出て飲食店の看板をチェックしてみると、飲食店の看板には視認性の高いものと低いものがあることがわかります。
これから看板を製作するのであれば、視認性の高い看板を製作したいものです。
視認性が低いと、お客さんの興味を引くことができず、お店の場所を瞬時に知らせることもできません。
あえてアーティスティックなフォントを採用するなどしてお客さんの興味をひくこともできますが、お店の雰囲気や特徴にマッチしていなければ入店前後でイメージが異なり、お客様満足度に影響があるかもしれません。
看板を設置する本来の目的を見失わず、しっかりと視認できるかどうか意識して製作するようにしましょう。
ゴチャゴチャしていない
看板に記載されている情報が多くゴチャゴチャしていると、本当に伝えたいことが伝わらずお客さんを混乱させてしまうかもしれません。
看板は宣伝するためのツールなので、つい情報を詰め込んでしまいたくなりますが、情報が多すぎてゴチャゴチャした看板は避けるべきです。
店名やメイン料理、店舗のジャンルなど、特に伝えたいポイントのみを記載し、なるべくシンプルな看板を製作するようにしましょう。
気づいてもらえる場所に設置されている
どれだけ優れた看板を製作したとしても、道を歩いているお客さんに気づいてもらえなくては意味がありません。
そのため、「どこに設置するか」も重要になります。
お店の立地によっては設置できる場所が限定される場合もあるかと思いますが、看板はなるべく目立つ場所に設置するようにしましょう。
外壁に設置する看板と地面に設置する看板、ウィンドウ看板など設置場所が異なる看板を併用し、よりお客さんに気づいてもらいやすくなるようにするのもおすすめです。
他店舗の看板に埋もれていない
看板を製作する際は、他店舗の看板に埋もれてしまわないように意識することも大切です。
例えば、白を貴重とした看板ばかりが並んでいるような地域で、同じ白い看板を設置してしまうと他の店舗の看板と同化して、看板が目立たなくなってしまいます。
店舗の雰囲気や自治体のルールによって派手な看板を製作できない場合もありますが、文字の色やデザインを変えるなどして、なるべく他の店舗の看板に埋もれてしまわないようにしましょう。
入店してもらうには店舗の外観や雰囲気も重要
先述したポイントを意識して看板を製作すれば集客に役立つ看板を製作できますが、良い看板ができたとしても必ずお客さんが増えるわけではありません。
実際に入店してもらうには店舗の外観や雰囲気も重要になります。
看板に興味をひかれて店舗の目の前まで来てみたものの、外観に興味をそそられなかったり、入店しにくい雰囲気が漂っていると、お客さんは立ち寄らずに去ってしまうでしょう。
そうなると大きな機会損失になってしまうため、看板だけでなく、店舗の外観や雰囲気づくりにも意識を向けるようにしましょう。
看板を作るときの要点は以下の通りです。
店舗のコンセプトやおすすめ料理、特徴を示す
看板は自店舗の特徴やおすすめ料理を明示するのに適した媒体です。特に個人店においては、店名だけが書かれている看板よりも、おすすめ料理や特徴を載せた方がお客さんも足を運びやすくなります。
そうした方がお店の業態が顧客へ伝わりやすくなるのです。
誰が見ても分かる表記にする
看板は販促ツールです。ひと目でそれが飲食店だと分かるようなものや、読みやすい表記にするよう心掛けましょう。
ひと目見るだけで、お店の業種が分かる看板にしましょう。
より印象的なものを採用する
看板に印象的なキャッチコピーや料理の写真などを載せると、さらなる効果が見込めます。
情報が絞られている
看板それぞれに情報を盛り込みすぎると、本当にアピールしたい情報が伝わりません。
伝える情報は絞り、すべての看板に共通して載せることで訴求力がアップします。
また、メニューには産地のこだわり、食感や味などの要素を詰め込みすぎないことも大切です。
お客さまが途中で読むのをやめてしまわないよう、文章の長さには注意してください。
看板は明るく、入りやすく
夕方から夜にかけて看板が暗いと、「このお店、やっているのかな?」と思われて、お客さまを逃すおそれがあります。
看板が暗いと入りにくいだけでなく、もの寂しい印象を醸し出してしまいます。薄暗くなる夕方以降は、看板や入口付近に照明をつけ、明るく照らしましょう。
ビルの地下などにあるお店は、看板や入口が暗くなりすぎないよう、昼間から気を配る必要があります。
看板の種類
看板には、壁面に取り付けるもの、路上に置くものなど、いろいろなタイプがあります。看板ではないけれど、看板のような役割を果たすアイテムもあるので、あわせて活用しましょう。
壁面看板
お店の壁面に取り付ける、よく見かけるタイプの看板です。プラスチック製で中にライトが入っているもの(内照式)と、外に取りつけたライトで照らすもの(外照式)があります。
ファサード看板
入口の真上部分(ファサード)に取り付ける看板で、お店の顔としての役割が大きいです。看板と聞くと多くの人が真っ先にイメージするのは、ファサード看板かもしれません。
ウィンドウ看板
窓に貼り付けるポスタータイプの看板です。窓という空きスペースを活かしてお客さまにアピールする方法で、カッティングシートを切り抜いた文字を貼る場合と、プリントアウトしたポスターで一つの文章を作る場合があります。空中階のお店におすすめです。
袖看板
建物の壁面に取り付け、道路側へと文字面を突出させる看板です。主に通路を歩く人や、車の運転手などにお店を知ってもらうために取り付けられます。
スタンド看板
多くは移動可能な自立式の看板のことを言います。店舗前の路上に置かれている場合はお店のメニューや価格などを紹介するために使われます。
懸垂幕
布地で作られた「旗」のような看板で、主にポールに取り付けてフェアーや季節商品などの告知に使用されます。
ポール看板
1、2本の支柱の上に看板を掲げるタイプのものです。構造の違いから「串刺し式看板」、「盤上式看板」、「二柱式看板」に分けられます。主に道路や駐車場沿いに設置し、歩行者やドライバーへ店舗の存在を知らしめるために使われます。
テント
軒先に、日よけや雨よけとして取り付ける屋根です。路面店であればほとんどのお店が設置するもので、平面部分は看板として活用できます。
のれん
日よけや目隠しのために入口にかける布で、ロゴや店名を入れることが多いです。のぼりと同じように、得意メニューを記載するお店もあります。
のぼり
お店の前に立てる縦長の旗をのぼりといいます。駐車場や路上に設置してお店をアピールしたり、得意とするメニューや季節商品などを宣伝します。
自立看板
お店から離れた場所で宣伝することや駐車場への誘導が目的です。歩行者とドライバーの両方から認識されやすく、主にドライバーの入店を誘導しやすいです。
上記以外にも、ガラス面シート(ドアやガラス窓のガラスのロゴや告知をシールで貼る)や屋上広告塔など、看板にはいろいろなタイプがありますが、認知拡大や集客効果をアップさせるために、設置できるものはすべて設置するといいでしょう。
費用はいくらくらいかかるのか
看板の種類を把握したところで、次に看板費用の内訳についてご紹介します。看板工事にかかる費用の内訳は、以下の3つに分けることが出来ます。
『 デザイン料 + 看板製作費 + 取り付け工事費 = 看板費 』
看板を自作ではなく、専門業者に頼んだ場合、費用はどの程度かかるのでしょうか。文字のデザインを独特なものにしたり、イラストを入れたりすると、価格が高くなるなど、その記載情報によっても上下しますが、おおむね相場は以下のようなものです。
◇看板の相場(参考価格)
- 壁面看板:3万~5万円
- ファサード看板:15万~20万円
- ウィンドウ看板:10万~15万円
- 袖看板:10万~15万円
- スタンド看板:5万~10万円
- 懸垂幕:1万~3万円
- ポール看板:20万
- テント:15万~20万円
- のれん:5万円~(大きさによる)
- のぼり:1本5,000~1万円(既製品は2,000円程度)
- 自立看板:2万円
あくまでも相場ですので、依頼する業者に見積もりを出してもらうことが大切です。
まとめ
地域や地区によってそういった看板を設置できない場所もあります。
都市計画であったり、都市景観計画といったものもあり、地域的に制約がある場所も存在します。
お店がOPENするから立て看板が必要だ!買おう!
ではなく、まずはその立て看板をどこに置くか、置けるのかを調べる所から始めましょう。
折角立て看板を用意して設置したのに、無許可だという事で撤去を要請されてしまう可能性もあります。
各自自治体によって屋外広告物条例というものが決められているそうです。