20〜30人以上の大人数で行われるイベントやパーティーの場合、居酒屋やレストランなどを貸切で利用するケースが多いものです。
飲食店のオーナーさん・店長さんは自店にパーティーの予約が入らないで悩んでいませんか?
今、結婚式の二次会や会社の社内行事などで伸びている貸切パーティーですが、店舗側にとってはかなりの利益が見込め、さらにリピートにつながることから率先して貸切パーティーを取り入れる動きが見られます。
そこで今回は、
貸切パーティーの料金設定やパーティー会場として必要な準備
などについて、詳しく見ていきましょう。
私は、飲食に30年以上携わってきました。色々なオーナーさんの下、たくさんの飲食店の立ち上げ・立て直しをしてきました。
そこで得たノウハウを分かりやすく公開しています。少しでも参考になれば幸いです。
今回の記事を読むと、
- 貸切パーティーが行われるシーン
- 請け負うメリット
- 料金の設定ポイント
- 必要な準備
などが分かるようになっています。
この記事で、あなたのお店も貸切パーティーを取り込んで、売り上げを伸ばして、繁盛店になってください。
それでは一緒に「貸切パーティーが行われるシーン」から見ていきましょう。
注目記事:飲食店でボブが結べないことで悩んでいる方に!元店長が教えるスタイル!
貸切パーティーに使われやすい飲食店とは?選ばれやすいポイントと準備について
貸切パーティーに使われやすい飲食店は、特定のイベントや集まりに最適な環境とサービスを提供することが求められます。以下は、選ばれやすいポイントと準備についての指針です。
選ばれやすいポイント:
- パーティー向けのスペース:
- 広いダイニングエリアやプライベートルームを提供し、多様な人数のゲストに対応できるようにします。また、屋外スペースやテラスがあるとさらに魅力的です。
- カスタマイズ可能なメニュー:
- パーティー主催者がメニューをカスタマイズできるようにしましょう。特別な要望やアレルギーに対応する柔軟性が大切です。
- ドリンクオプション:
- アルコールと非アルコールの飲み物の幅広いオプションを提供します。カクテル、ワイン、ビール、ソフトドリンクなどを用意し、顧客の好みに合わせましょう。
- プライバシーと快適性:
- プライバシーを確保できる独立したエリアや仕切りを設け、パーティーの参加者が快適に過ごせるようにしましょう。音響設備や照明の調整も大切です。
- エンターテイメントオプション:
- ライブ音楽、DJ、カラオケ、スクリーンプロジェクターなど、エンターテイメントオプションを提供することで、パーティーを盛り上げましょう。
- 専門スタッフ:
- パーティーサービスに特化したスタッフを配置し、パーティー主催者の要望を受け入れ、円滑な進行をサポートします。
- 予約とコーディネーション:
- イベントの予約プロセスを簡単かつ迅速に行い、パーティーのコーディネーションを助けます。予約の確認や席の配置に注意を払いましょう。
- 装飾とテーマ:
- パーティーのテーマに合った装飾やテーブルセッティングを提供し、特別感を演出します。
準備について:
- パーティーパッケージの設計:
- パーティーメニュー、ドリンクオプション、価格設定など、パーティーパッケージを設計します。異なる予算や要件に合わせて複数のオプションを用意しましょう。
- スタッフのトレーニング:
- スタッフにはパーティーサービスに関するトレーニングを行い、プロの対応を確保します。迅速なサービスと対応力が求められます。
- 予約システム:
- オンライン予約システムを導入し、パーティー予約を受け付けやすくしましょう。予約時に特別な要望やカスタマイズオプションを選択できるようにすることも重要です。
- プロモーションとマーケティング:
- パーティーサービスを広告し、ソーシャルメディア、ウェブサ
- イト、地元のイベントリスティングなどを活用して、パーティー主催者に知らせましょう。特別なプロモーションや割引を提供することも、集客を促進する手段です。
- 食材と飲料の調達:
- パーティーに備えて十分な食材と飲料を調達し、メニューの準備を整えます。新鮮で質の高い食材を使用することが重要です。
- パーティーのフローとスケジュール:
- パーティーの進行スケジュールを作成し、料理の提供タイミングやエンターテイメントのスケジュールを計画します。パーティーがスムーズに進行するように、スタッフに指示を与えましょう。
- セキュリティと安全対策:
- 大人数のパーティーを開催する際には、セキュリティ対策を検討します。アルコールの提供に関して法律に従い、ゲストの安全を確保します。
- パーティー主催者とのコミュニケーション:
- パーティー主催者とのコミュニケーションを円滑に保ちます。メニューやアレンジに関する相談に応じ、彼らの要望を叶える努力を行います。
- フィードバックの収集:
- パーティーが終了したら、参加者からのフィードバックを収集し、改善点や満足度を把握します。今後のパーティーサービスの向上に役立ちます。
- 清掃とリセット:
- パーティーが終わった後、スペースを迅速に清掃し、次の予約や通常の営業に備えます。
- 過去の成功事例の活用:
- 過去のパーティーイベントの成功事例やお客様の声を宣伝に活用し、信頼性を高めます。
- 継続的な改善:
- パーティーサービスを提供する際に得た経験から学び、サービスの品質と効率性を継続的に改善します。
パーティー向けの飲食店は、特別なイベントや集まりを成功させる場所として、ローカルコミュニティやイベント主催者に選ばれやすくなります。顧客満足度を高め、口コミやリピーターを獲得することで、貸切パーティーの需要を増やすことができます。
貸切パーティーが行われるシーン
料理やお酒だけでなく、趣向を凝らした装飾も楽しめる貸切パーティーは、様々な目的で行われます。
居酒屋やレストランなどでは、特に次のようないえんとがよく行われています。
- レストランウエディング・披露宴の二次会
- 会社の忘年会・新年会・歓送迎会・表彰式・記念祝賀会
- 同窓会・クラス会・謝恩会
- 趣味の会(同好会)・発表会
- 合コン・婚活パーティー
- 優勝祝賀会・打ち上げ
- 職場の会議
- 子どもたちを主役とした誕生会やハロウィンパーティーなど
お客様にとっての貸切パーティーの魅力は、周囲の目を気にせず、時間の許す限り盛り上がれ、お店のサービスが自分たちだけに向けられる事などが挙げられます。
普通の個室以上にプライバシーが保たれますから、秘匿性の高い話も外部に漏れる心配がありません。
貸切パーティーを請け負うメリットは?
では、貸切パーティーを請け負うお店にとっては、どのようなメリットがあるのでしょうか。
個人経営の店舗を例に、以下にあげてみます。
原価を抑えることができる
パーティープランでは、コース料理がほとんどでしょう。
コース料理では、通常のメニューより1人分の量が少なめになる傾向があります。
その分、原価を抑えることができます。
アイドルタイムを有効活用できる
最近では、会議の場としてレストランなどの飲食店に存在するアイドルタイム(ピーク時を過ぎて入店客が少ない時間帯。14~17時頃)に、貸切利用する会社や団体が増えています。
殺風景な会議室よりも、よいアイデアが生まれるというのが人気の理由のようです。
店側にとっても、本来なら準備中にするところを20~30人の集客になるのですから、双方にとってメリットになります。
リピーターにつながりやすい
貸切パーティーで初めて来店されたお客様に、料理や店内の雰囲気を知ってもらえます。
貸切りパーティーをきっかけに、リピーター獲得につながりやすくなります。
貸切パーティーの料金設定のポイント
ホテルのラウンジや高級レストランでの貸切パーティープランは、2時間制で1人当たり7,000~8,500円、そこに施設使用料やサービスチャージなどが加算され、最終的な1人当たりの予算は、10,000円前後というのがだいたいの相場となっています。
カジュアルなレストランや居酒屋の場合は、その半分以下の3,000~4,000円程度の料金が相場といわれています。
しかし、店舗のキャパシティー(収容人員)や料理のランク、貸切時間などによっては4,000円でも赤字になる場合がありますし、1,500円で利益が出ることもありますので、すべて一律に考えるわけにはいきません。
予約を受ける際に幹事役の人とよく打ち合わせをし、次のような点を確認したうえで、予算を決定する必要があります。
1. 人数の確認
参加者が何人で、どのランクの料理を注文するかによって料金が変動します。
店舗のキャパシティが50人とすると、50人で2,000円のコース料理の場合と、20人で1,500円のコース料理では売上に大きな差が出ます。
しかし、60人で1,500円のコース料理で請け負った場合、利益は大きくても定員オーバーによるトラブルが発生し、予想外の事態を招く恐れもあります。
よくあるトラブルとして、騒音が原因で近隣住民から警察に通報され厳しい指導を受けたとか、窮屈な店内で大騒ぎされ、店舗の備品を壊され修理代が高くついたといった事例があります。
キャパを超えることなく採算の取れる人数を割り出すことがポイントで、多くのお店では「30名様より最大50名様までご利用OK」のように制限をしています。
2. 曜日と貸切時間
金曜日の夜や祝日の前夜など、飲食店のかきいれ時に貸切を依頼されたときは、通常営業で得られる収益に照らし合わせて、料金を考えることが大切です。
たとえば、金曜の夜は通常営業で30万円の売上があるとすると、貸切の参加人数は30人という場合、1人当たり10,000円に設定しないと割りに合わないことになります。
しかし、幹事のほうはできるだけ低予算でできるお店を探しているのですから、10,000円で予約を確定することはまずありません。
パーティーを2時間に制限すれば、その後の通常営業で少しは売上をカバーすることも可能ですが、終日貸切で4,000円前後の予算でとなると赤字は免れませんので、曜日と時間を確認することも重要です。
3. パーティーの用途(目的)
前述した会議が目的の貸切利用の場合は、飲食がメインではないので大きな収益は望めません。
しかし、アイドルタイムですから1人当たり1,500円程度でも赤字になることはありません。
もし、ディナータイムに会議やセミナーなどの用途で貸切を希望された場合は、飲食代とは別に場所代として貸切料金を徴収する必要も出てきます。
お客様がそれを快諾してくれればよいのですが、貸切料金を取られるならほかを探すという人もいるでしょう。
だからといって、貸切料金を徴収できなければお店の損失が大きくなります。
そこで、ディナータイムの貸切を受け入れる際は、飲食を中心とするイベントに絞るほうがいいでしょう。
4. 最低保証金の合意
予約が確定しても、何らかの事情でキャンセルされることがあります。
その場合の支払いについて、予約段階で決めておく必要があります。
居酒屋などでは、「最低保証金」として人数分の飲食費を設定しておくことが多いようです。
たとえば、30人で4,000円のコース料理であれば120,000円を支払ってもらうことで合意を得ておきます。
参加者の中には、当日になってドタキャンする場合もあります。そのときも、この最低保証金で対応することができます。
いずれにしても、予約は電話でやり取りすることが多いので、行き違いが生じてしまうこともあるでしょう。
トラブルを未然に防ぐためにも、金額や数字は必ず復唱し、間違いのないようにしなければなりません。
パーティー前日には、電話やメールで予定に変更がないことを確認し、当日は気持ちよく来店してもらえるように歓迎の意を伝えておきましょう。
貸切パーティーに必要な準備とは?
貸切パーティでは、店の看板メニューをメインとしたコース料理を提供すればよいでしょう。
それだけではなく、唐揚げやポテト、スナック菓子など、酒のつまみの定番も欠かせません。
酒類は、飲み放題であれば銘柄を限定することができますが、普通注文の場合は通常どおりの銘柄をそろえておく必要もあります。
また、忘年会や新年会などのイベントにカラオケがつきものです。
音響、照明機器を完備しているお店は多いようですが、最近は、ムービーも上映できるよう、プロジェクターとスクリーンを設置しているところが増えています。
こうした設備をふだん使う機会がないという場合は、機器のレンタルをする方法もあります。
小型のモバイルプロジェクターは、1泊2日で5,000円前後の価格でレンタルすることができます。
そのほか、帰りにタクシーを利用する人がいる場合にも備えましょう。
タクシーを利用したいと考えるお客様に対して、お帰りの際にお待たせすること無くタクシーをご案内するためにも、貸切パーティーの前日までには予約をしておきます。
そうすれば、貸切パーティー当日に混乱することがないでしょう。
パーティーの成功を左右するサービスとスタッフ
プロのサービススタッフの対応力
プロのサービススタッフの対応力は、パーティーの雰囲気を大きく左右します。笑顔での挨拶や気配り、素早い対応がゲストに心地よい印象を与えます。料理の提供だけでなく、ゲストが快適に過ごせるよう配慮し、細やかな気遣いを忘れずに。素晴らしいサービスが、パーティー全体の満足度を高めます。
パーティープランナーの有無と役割
パーティープランナーの存在は、スムーズなイベント運営の鍵です。彼らは細部まで考慮し、予期せぬトラブルを未然に防ぐ役割を果たします。場所のレイアウトからタイムスケジュールまで、パーティープランナーに相談することで、イベントが円滑に進行し、主催者もゲストも安心して楽しむことができます。
コミュニケーション能力と臨機応変さの重要性
サービススタッフやプランナーに求められるスキルとして、コミュニケーション能力と臨機応変さが挙げられます。ゲストとのコミュニケーションを大切にし、彼らの要望やニーズに柔軟に対応する姿勢が求められます。予期せぬ状況にも対応できる能力があれば、パーティーの成功確率は高まることでしょう。
まとめ
パーティー会場として個人経営の店が支持される理由は、大手チェーン店とは違い「小回りが利く」ところです。
貸切パーティーを成功させるためにも、予約を受けた際には貸切パーティーの幹事様と一緒に企画を練るようにしたいものです。
時間が許されるなら、幹事様には下見に来てもらい、当日のプログラムなどの打ち合わせをしておくといいでしょう。