これから飲食店を開業しようとしているオーナーさん・店長さんは自店に防火管理者資格が必要なのか困っていませんか?
もし、必要だったらどのように取得して届出はどうすればいいのかわかりませんよね?
今回の記事では、
防火管理者はすべての飲食店で必要なわけではない!
防火管理者の役割は?
防火管理者になるには?
防火管理者講習の内容は?
について詳しく解説いたします。
私は飲食業界に30年携わってきて、色々なオーナーさんの元、飲食店の立ち上げ・立て直しをしてきました。
だからこそわかる細かなところを今回はまとめましたので、ぜひ参考に使ってください。
それでは最初に、「防火管理者はすべての飲食店で必要なわけではない!」理由から解説していきます。
最後までお付き合いください!
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飲食店に防火管理者は必要?
飲食店において、防火管理者を配置するかどうかは、地域の法令や規制に依存します。多くの場合、大規模な飲食店や特定の条件を満たす飲食店には防火管理者が必要とされますが、小規模な飲食店や一般的な条件を満たす飲食店には必要ない場合もあります。以下は一般的なガイドラインですが、地域によって異なる可能性があるため、具体的な法的要件を確認することが重要です。
- 建物の規模と用途: 大きな建物や多階建ての建物、高い客席数を持つ飲食店は、防火管理者を配置する必要があることがあります。これは建物の安全性と火災リスクを管理するための措置です。
- 建物の設備: 飲食店の設備によっても防火管理者の必要性が変わることがあります。例えば、厨房や調理機器が多く、火災リスクが高い場合、防火管理者が必要とされることがあります。
- 地域の法令: 地域や国の法令や建築基準に基づいて、防火管理者の必要性が決定されます。地域ごとに異なる要件が存在するため、地元の消防署や行政機関に相談し、適用される法律を確認することが重要です。
- 火災安全設備: 飲食店が適切な火災安全設備(消火器、火災報知器、非常口など)を備えている場合、防火管理者の必要性が低いことがあります。これらの設備が整備されていることは、火災の早期発見と鎮火に寄与します。
- 従業員の訓練: 従業員に火災の対処方法や安全手順に関する訓練を実施し、適切な火災対策を取ることも重要です。防火管理者が配置されていない場合でも、従業員の火災対策訓練は必要です。
したがって、防火管理者の必要性は飲食店の特定の状況と地域の法律に依存します。飲食店を開業する前に、地元の消防署や行政機関に連絡を取り、適用される法令や規制を確認し、必要な手続きを実施することをお勧めします。
防火管理者はすべての飲食店で必要なわけではない!
飲食店では、多くの場合、ガスコンロやバーナーといった「火」を使って調理を行うことになります。
調理に火が必要なのはごく当たり前のことですが、取り扱いに注意しなければ火事を起こしてしまう恐れもあります。
そのようなことがないように、防火の管理を行う責任者が「防火管理者」です。
防火管理者は、飲食店に限らず、不特定多数の人が出入りする施設で必要になるものです。
しかし、どのような施設であっても必ず防火管理者が必要というわけではありません。
飲食店の場合、登録が必要になるのは、30人以上を収容できる比較的大きなお店をオープンするときだけです。
小規模なカフェやラーメン店といった小さなお店では、防火管理者を選定する必要はありませんから、資格取得や届け出は不要です。
30人以上を収容できるお店をオープンしたい場合は、まず、延床面積について考えてみましょう。
延床面積が300平米以上の場合は「甲種防火管理者」、300平米未満の場合は「乙種防火管理者もしくは甲種防火管理者」が必要になります。
甲種防火管理者と乙種防火管理者では、取得のために必要な講習が変わってきます。
どちらかはっきりしてから資格を取得するか、どちらでも責任者になれる甲種防火管理者を取っておきましょう。
防火管理者は、営業開始までに所轄の消防署に届け出ることになっています。営業開始までには資格を取得するようにしてください。
防火管理者資格には甲種と乙種の2種類があります。
店舗の収容人数30人以上であり、
◯防火対象物の延べ床面積が300平方メートル以上の場合には、甲種防火管理者が必要です。
◯300平方メートル未満の場合には、乙種防火管理者もしくは甲種防火管理者が必要になります。
※30人とはお客様の数ではなく、アルバイトや経理などの従業員すべてを含みますので注意が必要です。
防火管理者 いないとどうなる?
防火管理者を選任していない場合は罰則を受ける
従わない場合は行政から防火管理者の選任命令が出されますが、それでも防火管理者未選任の状況が続いている場合は、消防法第42条によって6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金を受けなければなりません。
防火管理者 誰でも 取れる?
防火管理者の資格は、各市町村で実施される講習を受講することで誰でも取得できます。
※講習の主催は日本防火・防災協会。 資格には店舗の延べ面積によって資格取得の種別(甲または乙種)が変わるので注意しましょう。
防火管理者は何年有効?
一定規模以上の防火対象物に選任されている甲種防火管理者及び防災管理義務対象物に選任されている防災管理者は、新規講習修了後、5年以内ごとに再講習を受講することが定められています。 (講習以外で資格を取得した方は、受講義務はありません。)
防火管理者は国家資格ですか?
防火管理者とは、多数の者が利用する建物などの「火災等による被害」を防止するため、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務を計画的に行うために必要な国家資格です。
防火に関する知識・技能に内包されるものとして、危険物、地震、津波、火山等に関する知識も求められます。
防災管理者の合格率は?
合格率は、おおよそ97%。 勉強時間は? 講習で取得できます。
誰でも講習さえしっかり受講すれば取得できます。
受講するにあたって料金は?
防火・防災管理新規講習 | 5500円 |
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防災管理新規講習 | 2100円 |
乙種防火管理講習 | 1700円 |
防火・防災管理再講習 | 1400円 |
甲種防火管理再講習 | 1400円 |
防火管理者は何歳から?
年齢、学歴等に制限はなく誰でも受験できます。
消防設備点検資格者(特殊・一種・二種)、自衛消防業務講習修了者は、「防火管理の意義及び制度」が免除されます。
防火管理講習は何する?
防火管理者講習の内容
- 防火管理の意義及び制度
- 火災の基礎知識や危険物の安全管理・地震対策を含む、火気管理
- 施設・設備の維持管理
- 防火管理に係わる訓練・教育
- 防火管理に係わる消防計画
防火防災管理者講習は何時間かかるの?
防火管理講習 ・ 講習事項を見直し、講習時間を甲種にあっては12時間から10時間に、乙種にあ っては6時間から5時間に改める。
防火対象物点検資格者講習の既習者について、新たに講習の受講を免除する。
防火管理者になるには?
防火管理者とは、人が集まる場所で火事が起こってしまわないように、消防計画を作成したり、防火管理上に必要な業務を行ったりする責任者のことです。
防火管理者になるためには、2つの要件があります。
1つめは、防火管理が行える立場にあることです。
週に数時間だけ働くアルバイト店員などは、店舗に対する責任も持っていませんし、防火管理を行えるとはいえないでしょう。
これに該当するのは、開業する飲食店の店長やオーナーです。自分のお店を持つ場合は、誰かに防火管理者を任せるのではなく、自分が取得しておくのが一番確実です。
2つめが、防火管理に必要な知識や技術を持っていることです。
これは、防火講習を受けることでクリアすることができます。
ただし、「市町村の消防職員で、管理的又は監督的な職に1年以上あった者」など、すでに知識を持っていると認められる場合は、受講が免除されます。
該当するかもしれないという場合は、防火管理者講習を行っている機関に問い合わせをしてみてください。
防火管理者講習の内容
防火管理講習は、都道府県知事、市町村の消防長、日本防火・防災協会が行うことになっています。
実際にどこが講習を行っているのかは、各都道府県によって異なります。
講習の受講方法や受講費用についても、地域ごとに定められているので、各地の消防署に問い合わせてみましょう。
その際、開業予定の飲食店に必要な講習がどれなのかについても事前に確認しておくと安心です。
受講日数は、乙種防火管理者の場合1日、甲種防火管理者の場合は、甲種防火管理新規講習が1日+防災管理新規講習が1日で、合計2日です。
なお、一度取得した防火管理者の資格は別の都道府県でも有効ですが、念のため一度管轄の消防署に相談に行くようにしましょう。
具体的な防火管理業務とは?
防火管理者の責務として、以下のようなものが挙げられます。
防火管理に係る消防計画の作成と届出
防火管理の中枢を担うのが、消防計画です。
そして、消防計画は所轄の消防署へ提出しなければなりません。
消防計画は収容人員や延べ床面積によって、小規模、中規模、大規模に分類されています。
作成例やひな型を挙げてあるところも多いので、所轄の消防局のホームページで探してみましょう。
計画書を作成するだけではなく、防火のための従業員教育を実施するとともに、有事の際のそれぞれの役割分担や行動について明確に決め、周知しておくことも忘れないようにしましょう。
消防用設備の整備と点検
火災感知報知受信機、消火器、避難設備、誘導灯などの設備場所の確認や整備、点検。
避難および防火のうえで必要な構造、設備の維持管理
防火シャッターや防火ダンパーなどの防火施設、避難通路や非常口、排煙設備などの避難施設に異常がないか、障害がないか確認。
消火、通報、避難の定期的な訓練実施
消火訓練、避難訓練は年2回以上、通報訓練は年1回以上行う必要があります。
3つの訓練を連携して行う総合訓練の場合であっても年2回以上の実施が必要です。
訓練を行う際には、事前に所轄の消防署へ消防訓練実施計画書の提出をして通知しておきましょう。
訓練実施の公的な記録となります。
また、消火栓の取り扱いは難しいので、1号屋内消火栓や屋外消火栓を用いる訓練は、消防設備点検業者に立ち会ってもらうことをおすすめします。
火気の使用、取り扱いに関する監督
「一般的火気管理」として、発電設備、ボイラー、炉、調理用器具などの「火を使用する器具」「使用に際し、火災発生の恐れのある器具」に対する、定期的点検、修理、清掃などの管理。「喫煙の管理と制限」として、禁煙場所と喫煙場所を分けての火元点検や出火防止対策などの管理。さらに、「たき火の制限と放火防止対策」も含まれます。
収容人員の管理
店舗内の人の数が収容人員を超えないように管理。
まとめ:お客様と店舗を守るために
飲食店を開業するときは、収容人数や延べ床面積によって、乙種防火管理者や甲種防火管理者を選任しなければならない場合があります。
比較的大きな店舗をオープンしたいと考えている場合は、防火管理者の資格取得についても考えておかなければいけません。
防火管理者講習は事前申込制なので、希望の日程で受講するためには早めの行動をおすすめします。