最近ではラーメンダイニングなるものも出てきてラーメン業界は多様化しています。
淡麗系・つけ麺・汁なしのまぜ麺などジャンルが多様化した結果、若者の経営者による店も増えました。
こだわりを全面に出した店も多くて、資本力のある有名店が展開する店と対局にあるような存在となっています。
それに、汁なし・濃厚魚介つけ麺・淡麗系と言ったブームとともに、そのブームに特化した店もオープンしています。
夢が叶って開業したはいいけど、何が悪かったのか徐々に客足は遠のき、閉店へと追い込まれたラーメン屋はたくさんあります。
これからラーメン屋を開業しようとお考えのオーナーさん・店長さんはぜひ今回の記事を読んで自店の開業の参考にしてください。
最近オープンしたばかりなのに気づいたら閉店していた・・・というラーメン屋もよくあります。
流行り廃りの激しいラーメン業界で生き残って行くのは決して簡単ではないことを忘れないでください。
私は飲食業界に30年携わってきて、色々なオーナーさんの元、飲食店の立ち上げ・立て直しをしてきました。
だからこそわかる細かなところを今回はまとめましたので、ぜひ参考に使ってください。
ある統計ではオープンから1年以内に実に4割程度が閉店へと追い込まれてしまっていることがわかっています。
数多くの新店舗がオープンする一方で、どんどん潰れているのがラーメン業界の現実です。
いかに難しいか、そしていかにリスクが高いかを考えながら開業しましょう。
ここからはそんなラーメン業界の失敗例をパターン別に上げていきます。
そして、失敗しないためのラーメン屋の開業の方法を解説していきます。
それでは、私と一緒に見ていきましょう!
ラーメン屋の開業 7割が3年以内に廃業
ラーメン屋の開業が成功するかどうかは、さまざまな要因に依存します。確かに、飲食業界は競争が激しく、多くの新規店舗が開業後に廃業してしまう現実があります。以下は、ラーメン屋を開業する際に成功するための一般的なポイントです:
- 市場調査と競合分析:
- 開業前に市場調査と競合分析を行いましょう。地域の需要や競合店舗の数、顧客層を理解し、差別化ポイントを見つけてください。
- ビジネスプランの作成:
- 資金計画、収支予測、マーケティング戦略などを含むビジネスプランを作成しましょう。計画を立て、運営の方針を明確にすることが成功の基本です。
- 適切な場所の選定:
- 店舗の立地は非常に重要です。交通アクセスや周辺の競合店舗、顧客の通り道を考慮して、適切な場所を選びましょう。
- 資金計画と予算管理:
- 資金計画を慎重に立て、予算を守りましょう。開業時の資金調達や運営資金の確保が不可欠です。
- 高品質の食材とサービス:
- 高品質な食材を使用し、おいしいラーメンを提供しましょう。また、サービスの品質やスタッフのトレーニングにも注力しましょう。
- 効果的なマーケティング:
- マーケティング戦略を策定し、集客を図りましょう。ソーシャルメディア、ローカル広告、イベント参加などを活用してブランドを広めましょう。
- コスト管理:
- コスト管理を徹底し、無駄な経費を削減しましょう。原材料の仕入れや労働コスト、光熱費などを効率的に管理します。
- 顧客フィードバックの受け入れ:
- 顧客からのフィードバックを受け入れ、改善に努めましょう。顧客満足度を高めることがリピーターを増やす鍵です。
- 長期的な視点:
- 即座の利益だけでなく、長期的なビジョンを持ちましょう。持続可能な経営戦略を追求し、成長を目指しましょう。
ラーメン屋の開業は挑戦的であり、成功までには多くの努力が必要です。競争が激しい業界で生き残るためには、計画的な経営と高品質な提供が不可欠です。また、地域社会との良好な関係構築も重要です。成功するためには、情熱とコミットメントが必要ですが、適切な計画と実行によって、3年以内に廃業せずに存続できる可能性が高まります。
ラーメン屋が潰れて行く現象1:ラーメン屋が増えすぎている!
あなたも気づいていると思いますが、ラーメン屋が増えすぎているとは思いませんか?
単純に、ラーメン屋の店舗数が増えすぎているということが閉店へと追い込まれる原因の一つでもあります。
最近では、ラーメン屋の店舗数が過剰に増えて、需要よりも供給が大幅に上回っています。
ラーメン屋がそこら中に増えることで、お客様もラーメン屋を選ぶようになります。
お客様にとっては豊富な選択筋があるので「近いから」という理由でお客様が来るような時代はもうありません。
それに最近はお客様の舌も肥えているので、ただ美味しいだけのラーメンでは満足してもらえず、プラスαの要素が求められる時代なのです。
それらを満たしていないラーメン屋は、せっかく念願のラーメン屋を開業できたとしても失敗する確率が高くなります。
ラーメン屋が潰れて行く現象2:回転率が悪く売り上げが伸びなかった
ラーメン屋の客単価は1000円程度です。
多額の開業資金や、お店を運営するための運転資金とか、多額の資金が必要な割には売り上げとなる客単価が低いので、一見すると費用に効率が悪く見えます。
今後、売り上げを伸ばして行くには「回転率」が鍵を握っていると言っても過言ではありません。
ラーメン屋を開業するときに、お客様の回転率から客数を算出することができれば、おおよその1日の売り上げ予測ができます。
そこを計算せずラーメン屋を開業すると、売り上げが伸び悩み、最終的に運転資金が捻出できずに失敗することがよくあります。
ラーメン屋が潰れて行く現象3:ラーメン屋の味がアレ
今の時代、ラーメン屋を開業するのがとても難しいと感じる1番の理由が「ラーメンの味」です。
最近ではバリエーション豊かなスープの味やラーメン屋の系統も増えて、またお客様の舌も肥えているから、ラーメンの味が多様化し、美味しいラーメンを出す人気繁盛店がいくつもある中、自分のオリジナルのラーメンで勝負して行くのは決して簡単なことではありません。
ポピュラーで定番の味に仕上げたとしても、既食感のあるラーメンだと埋もれてしまいます。
かといって斬新で奇抜なラーメンだと一時的には売れたとしても客足が続かない可能性もあります。
ブレずに安定して美味しいラーメンを提供して行くためには「ラーメンの味」がやはり重要となってきます。
ラーメン屋が潰れて行く現象4:収支バランスがうまくいかず経営不振
ラーメン屋を経営する上で難しいのがこの「収支のバランス」です。
単純にラーメンをたくさん売ったからと言って黒字ににならないのが難しいところで、材料費・人件費・賃料や光熱費・雑費などの経費の割合が大きいのもラーメン屋の特徴です。
ラーメン屋を開業するときは、しっかりとした資金計画を立てないと、たちまち運転資金が尽きて失敗に終わってしまうから、いかにランニングコストを下げるかも大きなポイントとなります。
失敗しないためのラーメン屋の考え方!
それでは、これら4つのラーメン屋開業における失敗例を踏まえた上で、どのようにすれば失敗しないためのラーメン屋になるかについて解説していきます。
ラーメンの味
こんなにたくさんあるラーメン屋の中からお客様に選んでもらうには、やはり商品である「ラーメン」が重要になってきます。
また、ラーメンの命であるスープは温度や季節、また作り手のコンディション1つで変わるものだけど、日によってスープの味が違うというのは言語道断です。
それはお客様にも伝わってしまいます。
安定した美味しいラーメンの味を提供するのは、ラーメン屋の絶対条件と言えます。
立地ビジネス
それに、ラーメン屋は立地ビジネスとも言われるほど、立地条件は重要です。
繁華街なら個性や新規顧客を呼び込む工夫を、ビジネス街なら低価格でスピード提供を心がける、ロードサイドなら車に乗ってすぐにわかる外観デザインなど、立地によって何を重視すべきかを考える必要があります。
店舗設計
お店の回転に大きく関係する店舗設計も大事です。
店舗設計にはお客様の回転率を上げるための工夫が必要です。
資金計画
あとは、資金計画を立て、1日の売上額を前もって想定し、万が一売り上げが総定額に満たない場合に見直しができるか?計算力や対応力が必要となってきます。
これらをオーナー1人ですべて実践して行くのは実際にはとても大変です。
ラーメン屋という非常にハードな仕事に体力の限界を感じて、途中で挫折してしまうオーナーもいます。
ラーメン屋を開業した後でも不安は尽きない、それが「厳しい」と言われているラーメン業界の実態です。
3年以内に閉店するラーメン屋は全体の70%
3年以内に閉店するラーメン屋は全体の70%という結果も出ています。
そもそも飲食業界は不安定な職業であり、継続率は全体的に低い上、その中でもラーメン屋は人気ジャンルです。
先人に学ぶ
あとは先人に学ぶとすれば・・・1000円を超えるラーメンはヤバい!ということです。
ラーメン屋の中には素材やs時に強いこだわりを持つ店舗もあり、最近では一杯1000円を超えるような価格を提示しているラーメン屋も多いです。
食材・味・ラーメンを作る工程などにこだわり出すと、ラーメンの提供価格はあっという間に1000円を肥えてしまうけど、ラーメンの提供価格が1000円を肥えてしまうような場合は、ラーメンへのこだわりとはそもそも何なのかという点から考え直す必要があると言えます。
ミシュランに掲載されているお店ではかつて1000円でラーメンを提供していました。
しかし、世界で高く評価された後、すぐに900円に値下げをしました。
そこの店主は周囲の情報に振り回されたり、思考を停止して同じメニューを作り続けたりするだけでは、本当に美味しいラーメンお作ることはできないと考えているそうです。
常に新しい食材を求め続け、無駄なコストを一切かけず、シンプルなラーメンを作ることで提供価格を抑えることができるようになったそうです。
そもそもラーメン一杯に1000円は伴っていないということを理解した上で、美味しいラーメンを求め続けること、また、ラーメン屋を運営する経営者であると言う自負を持ってこそ、ようやくラーメン業界で成功できるんだそうです。
開業資金を回収するためにラーメンは何杯売ればいい?
平均的に
設備投資:約1620万円
運転資金:約60万円
材料費:約150万円
家賃:約月50万円
光熱費:約月5〜20万円
人件費:約月15万円
食器・家具・備品:約60万円
くらいかかっていると言われています。
開業資金・固定費を合わせるとあっという間に2000万円を超える資金が必要になります。
そした、ラーメンのおおよその原価は
醤油ラーメン:185円
とんこつラーメン:215円
味噌ラーメン:270円ぐらいと言われています。
一番原価の低い醤油ラーメンであれば、倍の金額で利益を出すことが可能です。
しかし、フランチャイズに加盟していたり、人件費がかさんだりすると、すぐに赤字になるため、安すぎる値段設定も危険です。
原価185円の醤油ラーメンを1杯500円で販売した場合、1日に200杯程度を売り上げる音ができれば、固定費の他に月80万円程度が利益になります。
さらに、そこから開業にかかった資金の返済を続けていくと、ざっと計算して8年以上はかかります。
ラーメン屋で開業資金を返済し、さらに固定費も賄い、利益を上げるためには緻密な計算と、先を見越した資金繰りもとても重要になってきます。
数字・経済・経営に強くなければ、長年ラーメン屋を続けることはできません。
ラーメン屋の意外な落とし穴
あとはラーメン屋の経営の意外な落とし穴があります。
それは人材不足です。
飲食店の中でも特にラーメン屋はアルバイトの人気が低く、募集をかけても思うように集まらないのです。
時給を上げれば人は集まるかもしれませんが、かえって人件費がかかり赤字になる可能性もあります。
できる限り人件費を抑える方法を考えつつ、さらに「ここで働きたい」と思わせる魅力的な条件を提示する必要があると言えます。
人件費を削減するには券売機を導入する・メニュー数を少なくするといった工夫をする必要があります。
また、働きやすい立地を選ぶ・短時間の勤務でOKなど働きやすさを重視する求人も大切です。
人件費を削減するために、営業時間の短縮・土日祝を定休日にする・あるお店では100食を売り切った時点でその日の営業を終了するなどの対策を取り入れているところも多いです。
まとめ
ラーメン屋は飲食店の中でも省スペースで開業できることから、参入しやすいビジネスとも言われています。
だけどその反面、価格や材料費、固定費を抑えることで、人材を集めること、さらにライバル店との差別化することなどがとても難しくて、リスクの高い業界です。
成功しているラーメン屋は理想だけを求めているのではなく、想像できないくらいに緻密な計算を行い、締める部分は締めて、必死に経営を続けているのが現状なのです。
ラーメン屋の開業に踏み切る前に、自分にその覚悟があるのかを一度振り返ってみることが必要となります。