これから飲食店を開業するオーナーさん・店長さんはどこに何の届出をすればいいのかはっきりとわからないで困っていませんか?
今回の記事では、どこに何を届出すればいいのかが詳しくわかるようにそれぞれに説明していきます。
私は、飲食に30年以上携わってきて色々なオーナーさんの要望に応えて立ち上げをしてきました。
その経験から飲食店の立ち上げで必要な届出を詳しく説明させていただきます。
この記事を読むと
- 税務署に必要な届出
- 保健所に必要な届出
- 消防車に必要な届出
- 警察署に必要な届出
- 従業員を雇うのに必要な届出
などがわかるようになります。
それでは一緒に見ていきましょう!
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飲食店開業に必要な届出をしないとどうなるのか?
飲食店を開業する際に必要な届出や許認可を怠ると、様々な法的、税務、衛生、安全、規制上の問題が生じる可能性があります。以下は、届出を怠った場合の主なリスクと影響です:
- 違法経営:
- 適切な許認可や届出を受けずに飲食店を運営することは、違法経営と見なされる可能性があります。これは罰金や法的措置の対象となる可能性があります。
- 税務問題:
- 届出を怠ると、税務当局との間で税金に関する問題が生じる可能性があります。所得税、消費税、法人税などの税金を適切に申告し、納付することが重要です。届出を怠ると、税務罰金や追加の税金が課せられることがあります。
- 衛生と安全:
- 飲食店は食品衛生に関する規制を順守しなければなりません。許可や届出がない場合、食品の安全性や衛生基準を満たさない可能性が高まり、公衆衛生に関する問題が発生する可能性があります。
- 顧客との信頼喪失:
- 規制違反や許可のない運営は、顧客の信頼を失うリスクがあります。信頼性のある運営と法的な遵守は、顧客に対する信頼を築くために重要です。
- 取引先との関係:
- 届出を怠ることは、供給業者、賃貸業者、銀行などとのビジネス関係にも影響を与える可能性があります。取引先やパートナーは、法的要件を遵守することを期待するでしょう。
- 閉店命令:
- 適切な許認可を取得せずに運営を続けると、地方自治体や監督当局からの閉店命令が下される可能性があります。これにより、営業停止や資産の没収などの重大な影響を受けることがあります。
したがって、飲食店を開業する際には、地元の規制と法的要件を遵守し、必要な許認可や届出をきちんと行うことが非常に重要です。適切な法的手続きを行うことで、法的トラブルや事業上の問題を最小限に抑え、スムーズな運営を確保できます。
飲食店の開業時に提出する「開業届」
飲食店を開業する際は、開業届を提出する必要があります。
この開業届の正式名称は「個人事業主の開業・廃業等届出書」です。
所得税法第229条によって、個人事業主として新しく事業を始めるときは開業届の提出が義務付けられています。
開業届を提出する時期は開業してから1ヶ月以内と決まっているため、忘れずに提出しましょう。
届出をしなくても罰則はありませんが届出をした方が絶対にメリットがあります
所得税法第229条で開業時には開業届の提出が必要だと定められていますが、届出をしなくても罰則はありません。
ただし、開業届を出せばさまざまなメリットがあるため、提出しておいたほうがいいでしょう。
開業届を出すメリットは?
開業届を出すとどのようなメリットがあるのでしょうか。
具体的に解説していきましょう。
青色申告制度が使える
開業届とあわせて「青色申告承認申請書」を提出すると、確定申告の際に青色申告制度を利用できます。
青色申告制度とは個人事業主に適用される税制上の優遇措置の事です。
具体的には、最大65万円の控除を受けられます。
また、赤字になった年は損失申告ができ、最長で3年間の繰り越しが可能です。
赤字を次の年の所得から差し引けるため、節税につながります。
屋号を付けた口座が開設できるようになる
開業届には屋号の記載も可能です。
屋号があれば、銀行口座を作る際に名義を屋号と自分の氏名にできます。
お店の名前(屋号)と個人の氏名であれば、銀行口座を開設できる銀行がほとんどです。
「○○ダイニング 山田 太郎」
※お店の名前(屋号)のみでの開設は、結構難しいです。
個人で使用している銀行口座とは別に事業用口座を設けられるため、お金の管理がしやすくなります。
プライベートと業務のお金の流れをわけて把握でき、会計上の仕訳をする際も実態を簡単に確認できるようになるでしょう。
詳しくはこちらの記事をお読みください⬇︎
支援制度が利用できる
個人事業主を対象としている支援制度が多くあります。
たとえば、小規模企業共済を利用すれば、退職金の代わりとして共済金の積立ができます。
支援制度を利用する際は、個人事業主であることを証明するために開業届の控えが必要です。
開業届を出す際の注意点
開業届を出すときは気をつけるべきこともあります。
ここでは、具体的な注意点を解説します。
失業給付が受けられなくなる
会社員として雇用保険に加入していた人が退職した場合、再就職を希望するなら失業給付を受け取れます。
しかし、開業すれば再就職する意思がないとみなされます。
退職後にそのまま開業すると失業給付の受給資格がなくなるため、注意が必要です。
社会保険の扶養を外れる
配偶者の扶養に入っている人が開業届を提出すると、社会保険の扶養を外れなければなりません。
ほとんどの健康保険組合では、個人事業主は扶養の対象外としています。
そのため、自ら社会保険料を負担する必要があります。
保健所への申請が必須の「飲食店営業許可」
飲食店を開業するためには「飲食店営業許可」が必須になります。
これは、保健所に対し申請して、検査に合格すると許可がもらえます。
「飲食店営業許可」がなければ飲食店は営業できません。
そのため開業前にしっかりと申請して「飲食店営業許可」を取得しておきましょう。
「飲食店営業許可」を申請する時期は開業の1ヶ月前です。
食品衛生責任者の資格が必要
「飲食店営業許可」の取得に必要な資格は、食品衛生責任者の資格取得です。
食品衛生責任者は、食品衛生法に定められた営業許可施設ごとに配置することが義務付けられています。
例えば、販売部門と製造部門がそれぞれに分かれている企業の場合、販売部門と製造部門に食品衛生責任者を選任し配置しなければなりません。
開業を目指していても、食品衛生責任者を配置できなければ、開業できないことになります。
食品衛生管理者を配置する必要がない飲食店などでも食品衛生責任者の配置は必須です。
食品衛生責任者となるには、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、栄養士、調理師、製菓衛生師等の資格保持者は、実務経験や講習不要で食品衛生責任者となることができます。
医師や調理師などの資格がない場合は、食品衛生責任者養成講習を受講する必要があります。
また、飲食店や食品販売の営業許可更新時には、食品衛生責任者実務講習を受講する必要があります。
これは、医師や調理師等の国家資格保有者も受講対象となります。
実務講習を受講しなければ、営業許可の更新申請ができませんので注意が必要です。
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飲食店営業許可申請に必要な書類
飲食店営業許可を申請するには、保健所に以下の書類を提出しましょう。
・飲食店営業許可申請書
・営業設備の大要・配置図
・食品衛生責任者の資格取得を証明できる書類
・内装の配置の平面図
・場所の見取り図
・登記事項証明書
・水質検査成績書
登記事項証明書は法人のみ必要です。
また、水質検査成績書は、貯水槽や井戸水を利用する場合に必要となります。
飲食店営業許可申請の流れ
飲食店営業許可の申請は、どのように行えばいいのでしょうか。申請の具体的な流れを解説します。
1.事前相談
店舗の工事を始める前に、設計図を持参して保健所に相談します。保健所に直接確認することで、営業許可の基準を満たしているかどうかチェックしてもらえます。営業の内容によって基準が変わるため、必ず事前相談を行いましょう。
2.申請書類を提出
すでに解説した必要書類を用意し、保健所に申請を行います。飲食店営業許可申請書や営業設備の大要・配置図は、保健所で取得できます。申請は、工事完了の10日前までに済ませるようにしましょう。
3.保健所による立会検査
工事が完了した店舗を保健所の担当者が訪問し、立会検査を実施します。立会検査でチェックされるのは、施設基準に適合しているかどうかや、設計書どおりになっているかなどです。問題を指摘された場合、改善して再検査を受ける必要があります。
4.営業許可証の交付
立会検査をクリアすると、営業許可証の交付予定日が通知されます。交付予定日に認印を持参して保健所へ行き、営業許可証を受け取りましょう。営業許可証は、店舗内のよくみえる場所に掲示してください。
もし無許可営業をした場合の罰則
飲食店を開業するためには、飲食店営業許可が必ず必要です。
届出をせずに無許可で営業したり、不備を改善せず違法な状態で営業したりすると、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科される可能性があります。
消防署への提出が必須の「防火対象物使用開始届」
飲食店の開業にあたって、消防署に防火対象物使用開始届を提出する必要があります。
この届出は、消防署が管轄地域の飲食店の消防設備について正確に把握するためのものです。
消防設備については、消防法により基準が設けられています。
防火対象物使用開始届の提出期限は、開業の7日前までです。
飲食店に必要な消防設備とは
消防法で飲食店に対して義務づけられている消火設備は、以下の3種類です。
・消火設備
・警報設備
・避難設備
消火設備は、消火栓やスプリンクラーなどが該当します。
警報設備は、火災が発生した際に通報するための装置のことです。
また、災害発生時にスムーズに避難するための避難はしごや救助袋などの避難設備も必要です。
規模や設備で必要となる消防署へのその他の申請・届出
飲食店の店舗の規模や設備によっては、ほかにも消防署へ提出すべき書類があります。具体的に解説します。
防火対象物工事等計画届出書
店舗の間仕切りを変更したり、模様替えや修繕を行ったりする場合は、防火対象物工事等計画届出書の届出が必要です。
建物の概要、設計、店内の配置図などを記載し、工事を開始する7日前までに提出しましょう。
火を使用する設備等の設置届
出力が大きい設備を導入する場合は、火を使用する設備等の設置届も提出する必要があります。
たとえば、使用する電力の合計が350キロワット以上の厨房設備、可燃ガスや蒸気が出る炉、70キロワット以上の給湯湯沸設備、ボイラーなどの設置が該当します。
届出のタイミングは、これらの設備を新しく導入するときです。
防火管理者選任届
従業員を含む収容人数が30人以上の店舗では、防火管理者選任届の提出も求められます。
延床面積が300平方メートル以上なら甲種防火管理者、300平方メートル未満なら乙種防火管理者を専任する必要があります。
防火管理者の資格を取得し、営業開始日までに消防署へ届出をしてください。
防火管理者資格の取得方法
防火管理者の資格を取得するには、防火管理講習の受講が必要です。
講習にかかる時間は、甲種で2日間(合計10時間)、乙種で1日間(5時間)となっています。
講習の具体的な日時や会場、申し込み方法は地域によって異なるため、所轄の消防署に確認しましょう。
営業時間や業態により必要となる警察署への届出
営業時間や業態によっては、飲食店の開業に際して警察署への届出も必要です。
どのような届出が必要か解説します。
深夜酒類提供飲食店営業開始届書
夜12時から翌朝6時までの時間に酒類を提供する場合、深夜酒類提供飲食店営業開始届書の提出が必要です。
住宅専用地域などでは酒類の提供に制限がある可能性もあるため、事前に確認しておきましょう。
届出は営業開始日の10日前までに行います。
届出をせずに営業すると50万円以下の罰金を科される恐れがあります。
風俗営業許可申請
従業員が客に対して接待を行う場合は、風俗営業許可申請の届出が必要です。
風俗営業については設備や人物などに条件があり、営業できる地域は商業地域など一定のエリアに限られています。
事前に条件を確認したうえで申請してください。
届出を行わずに営業すると50万円以下の罰金を科される可能性があるため、注意しましょう。
従業員を雇う場合に必要な申請・届出
飲食店で従業員を雇う場合は、さらにほかの申請や届出が必要です。
以下で具体的に解説します。
労災保険の加入手続き|労働基準監督署
労災保険は、従業員が勤務中や通勤中に労働災害にあった場合に補償を受けられる制度です。
従業員を雇うなら、雇用形態を問わず加入手続きが必要です。
従業員を雇用した翌日から10日以内に手続きを済ませましょう。
雇用保険の加入手続き|公共職業安定所
雇用保険は、従業員が失業した場合に失業給付を受け取れる制度です。
従業員の1週間の労働時間が20時間以上であり、31日以上継続して雇用する場合は雇用保険に加入する必要があります。
雇用した翌日から10日以内に手続きを行いましょう。
まとめ
飲食店開業に必要な届出をまとめました。
開業届は出したほうが何かとメリットがあるので届出しておきましょう。
- 青色申告制度が使える
- 屋号を付けた口座が開設できるようになる
- 支援制度が利用できる
保健所への申請が必須の「飲食店営業許可」には食品衛生責任者の資格が必要です。
飲食店営業許可を申請するには、保健所に以下の書類を提出しましょう。
・飲食店営業許可申請書
・営業設備の大要・配置図
・食品衛生責任者の資格取得を証明できる書類
・内装の配置の平面図
・場所の見取り図
・登記事項証明書
・水質検査成績書
消防署への提出が必須の「防火対象物使用開始届」には防火管理者資格の取得が必要。
消防法で飲食店に対して義務づけられている消火設備は、以下の3種類です。
・消火設備
・警報設備
・避難設備
営業時間や業態により必要となる警察署への届出
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届書
- 風俗営業許可申請
従業員を雇う場合に必要な申請・届出
- 労災保険の加入手続き|労働基準監督署
- 雇用保険の加入手続き|公共職業安定所
これらはそれぞれに期日があるので注意が必要です。
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